追跡ドキュメント〜クロマグロ

  クロマグロ-Vol.2  
 
2-世界初の成功

 
 

WHAの山本専務も、少し緊張の面持ちで立ち会った。というのも、この日は、「食」にうるさいしずてつストア社長である大吉満氏も同席していたからだ。「意見は、はっきりどんどん言わせてもらうよ」と前置きがあっての試食だ。
自信があるわけではない。というのも、この養殖は、成功すれば世界で初めてのことになる。フロンティアだ。日々、挑戦の連続である。新しいことをやるというのは、真似が一つもないから、意外なことからヒントを得たりしながらチャレンジし続けなければならない。しかし、そんなところを見てくれて、評価してくれる人はいない。結果のみだ。つまりまぐろの養殖が成功したかしないか、成功の場合はおいしいかまずいかだけである。そして成功した暁には、その技術を買い取って大量生産が可能になっていく。早い話、山本専務は、男のロマンだけで動いているのだ。しかし、山本専務の顔はいつも輝いている。ロマンを追い続ける男の顔である。企業のコマとして動かされている疲れた企業人の顔ではない。「他人がやってないことだから、いろいろと見つけてやっていくことの大変さがあるが、それは誰も見ていないんですよ」。でも、これが成功すれば、この先、この技術は受け継がれ、山本氏は語り継がれる人になるのだ。

大吉社長の口にまぐろが運ばれた。 「うむっ。おいしいだけではない。まぐろの味がしっかりと出ている」。 それは食通の社長をうならせる旨さだった。 最初の予想より上出来だった。直径5メートルの水槽で、330日間育てたクロマグロの味は、適度な運動量で、赤身も出ていて、天然に限りなく近いものになっていた。世界初の試みで、世界初の成功の味である。

 
  養殖場内の風景  

 

 

育った幼魚水銀がないこと、きれいな水質で育てているため、臭みもないこと。また、地下海水のため、無酸素水なので、菌がない。そのため、薬品も使うことなく育てることができる。それが旨さへとつながった。
「天然物の、赤身やトロがはっきりしているものに近づけたかった」という山本専務の思い通りの味が出た。自然界のような環境を整えて、なおかつ、生活汚水や水銀のないところで育った安全なまぐろの供給。そして、最後の絞めるところまでをしっかりと見極めて出荷したいという。

8月9日に300匹のまぐろの稚魚がやってくる。今回は、前回よりもまぐろの生存率を10%アップする秘策を考えた。考えに考えた秘策は、できてしまえば簡単なものだったというが、そこまでの過程は、長く苦労の連続だった。 いよいよ本格的な出荷に向けて始動する。

 
 

WHA株式会社のHPができました!マグロ情報も掲載されています。

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